機械メーカーのM&A相談は、売却価格を決める前から始められます。初回の目的は、会社の現状と経営者の希望を共有し、何を調べれば次の判断ができるかを明確にすることです。決算書や図面をすべてそろえる必要はありません。まずは以下の質問への回答を、一枚のメモにまとめてみてください。
相談前に答えを用意したい6つの質問
- なぜ今、承継を考えるのか。後継者不在、設備更新、技術者の高齢化、成長投資など、相談のきっかけを一つ挙げます。売却以外の方法も比較したい場合は、その意向も伝えます。
- いつまでに、何を決めたいか。退任希望時期と、設備投資・借入更新・工場賃貸借更新などの期限を分けて整理します。
- 誰が意思決定に関わるか。株主、共同経営者、親族などの関係者を確認し、まだ相談していない人も書き出します。
- 何を残したいか。従業員の雇用、工場、屋号、顧客対応などから優先するものを選びます。譲れない条件と希望条件は分けておきます。
- 会社の強みを何で説明できるか。加工精度、短納期、保守網、特定工程、顧客との継続取引など、具体例を一つ用意します。
- 先に伝えるべき課題は何か。主要顧客への依存、設備故障、人材不足、保証対応、代表者だけが把握する業務など、不安な点も共有します。
希望価格が未定でも構いません。金額のイメージがある場合は「退任後に必要な資金」なのか「会社の評価額の予想」なのかも伝えると、認識の違いを整理しやすくなります。考え方は企業価値・売却価格のページで確認できます。
最初に用意する情報と、後から整理する資料
初回は手元にある情報で現状を説明し、資料の提出範囲や共有方法を担当者と決めます。以下は準備の目安です。資料がない項目は、所在や確認できる人を伝えてください。
| 項目 | 初回に説明したい情報 | 必要に応じて後から整理する資料 |
|---|---|---|
| 事業・取引 | 主な製品、加工工程、顧客の業種、売上規模 | 顧客別売上、受注残、案件別粗利、取引契約 |
| 業績・資金 | 直近の業績傾向、借入の有無、大きな支出予定 | 直近3期の決算書、月次試算表、借入一覧 |
| 設備・工場 | 主要設備、所有・賃借の別、更新が必要な設備 | 設備台帳、リース契約、修繕履歴、工場の資料 |
| 人・技術 | 従業員数、中心となる技術者、代表者の役割 | 役割一覧、資格、図面・NCプログラム等の所在 |
| 株主・希望条件 | 株主の構成、検討状況、承継時期の希望 | 株主名簿、関係者の意向、引継ぎ条件の整理 |
「資料をきれいに作り直すこと」より、数字の対象期間や情報の出所を分かるようにすることを優先します。見込みと実績が混ざっている場合は、その違いも明記しましょう。
秘密保持は、送る前に確認する
機械会社は製品写真、加工内容、設備構成だけでも社名を推測されることがあります。初回の連絡では、主要顧客名、従業員の個人情報、図面、NCプログラムなどを一括で送らず、必要な情報と安全な共有方法を確認してください。
面談では「誰が資料を見るのか」「候補先への社名開示をどう承諾するのか」「連絡に使ってよい電話・メールはどれか」を確認します。社員が閲覧する共有メールや代表電話への連絡を避けたい場合も、最初に希望を伝えます。当センターの公開方針は情報セキュリティ方針をご覧ください。
費用と支援範囲について聞いておくこと
当センターは中小M&Aガイドライン遵守方針で、譲渡企業様の相談料・着手金・中間金・月額報酬・成功報酬を0円とする方針を公表しています。契約前には、支援に含まれる業務と別途確認が必要な費用を、具体的に確かめてください。
- 会社資料の整理、候補先の探索、面談調整は、どこまで支援を受けられるか。
- 外部の専門家に依頼する場合、誰が依頼し、費用を負担するか。
- 報酬を受け取る相手と、利益相反への対応をどう説明してもらえるか。
- 検討を中断・終了する場合の条件や、契約期間はどうなっているか。
初回相談の最後に決める3つのこと
面談の終わりに、①追加で確認する情報、②誰がいつまでに用意するか、③次回に何を判断するかを確認します。例えば「設備更新の見積りを確認してから承継時期を比較する」「株主の意向を確かめてから候補先探しを検討する」といった形です。相談時点で売却を決断する必要はありません。
全体の流れを知りたい方は機械M&Aの進め方、検討の入口を整理したい方は会社売却・事業承継をご検討の方へをご覧ください。相談をご希望の方は、現在の検討段階と連絡方法の希望を添えて、譲渡企業様専用フォームからお問い合わせください。
